十九世紀フランス忘却作家メモ
Notice de l'écrivain français dans l'oubli

 Nom   姓  OHNET
 Prénom 名  Georges
 氏 名  ジョルジュ・オーネ
出生年月/出生地
Date et lieu de naissance
 1848年4月3日、パリ Paris
死亡年月/逝去地
Date et lieu de décès
 1918年5月6日、パリ Paris
 経 歴
 Carrière
建築家の子としてパリに生れる。ジャーナリストとして「故国(Le pays)」
「立憲派(Le constitutionnel)」などの保守的な新聞社で編集に携わった
あと作家活動に入る。「人生の戦い」と銘打った連作小説を書き、産業
ブルジョア市民の台頭と旧来の貴族階級と拮抗する姿を生き生きと描
いて大衆に絶大な人気を博した。特に劇化された「製鋼技師」などの諸
作品は、冷ややかな批評家たちの蔑視と罵倒にもかかわらず、長期に
わたり公演が続けられた。


主要著作 Œuvres principales ( )は仮題
書  名 発表年 頁数 Gallica 市販 ISBN
Serge Panine ; Les batailles de la vie
(セルジュ・パニーヌ:人生の戦い)
1881 320 68719 Albin Michel
1998
2-226-
04230-X
Maître de forges ; Les batailles de la vie
(製鋼技師:人生の戦い)
1882 486 80364 Albin Michel
1998
2-226-
01776-3
La comtesse Sarah
(伯爵夫人サラ)
1883 464 91120

Lise Fleuron ; Les batailles de la vie
(リーズ・フルーロン:人生の戦い)
1884 463 80361

La grande marnière
(大泥炭鉱)
1885 454 66377 Albin Michel
1998
2-226-
04229-6
Volonté ; Les batailles de la vie
(意志:人生の戦い)
1888 420 68852

L'âme de pierre
(石のような心)
1890 230 68750

Les vieilles rancunes ; Les batailles de la vie
(積年の恨み:人生の戦い)
1895 336 64599


参考サイト Site de référence :
( 1 ) BDHL = Banque de Donnees d'Histoire Litteraire(仏文学史データバンク:仏語)
( 2 ) The 1911 Edition Encyclopedia(1911年の百科事典:英語)
( 3 ) The Project Gutenberg : Georges Ohnet : Serge Panine
(グーテンベルク計画サイト:英語;ジョルジュ・オーネ作「セルジュ・パニーヌ」の英訳全文Translation in english)


※ジョルジュ・オーネが批評家によってさんざんに酷評を受けた事例を伝える文献

(1) 1882年のこと、『工場の技師』(*上表では『製鋼技師』Le maître de forges)と題する小説が書店にあらわれました。別に異色のあるような作品ともみえず、特に鳴り物入りで売り出されたわけでもなかったのです。しかるにこれが三、四ヵ月のうちに、イギリスならさしずめ大ディケンズの小説にもくらべられるような売れゆきをみせたのです。
 ジョルジュ・オーネの文章は別に大作家の文章というほどのものではありません。その証拠に、オーネの文章はもう過去のものになってしまっています。或る種のいいまわいにいたっては今日もう読むに堪えないようなものもあり、おそらく当時だっておなじことだったろうという気がするくらいです。
 しかし、この作品の真骨頂は、この小説の着想、筋のはこびかた、登場人物の描き方にあるのです。(・・・)
 実際、鐡だの鋼だのをつくるエンジニヤ、職工を登場させた小説というものはこれが最初だったのです。それも(・・・)職工さんを主役に、二枚目に、中心人物に、ヒーローに仕立てあげてみせたのです。これはまさしく重大事件で、(・・・)
 
 当時或る右翼の大新聞の批評家だったジュール・ルメートル氏は、(・・・)そもそもお歴々の貴族のお姫様ともあろうお方がどこの馬の骨ともわからない職工などにお胸を焦がされるなんて、そんなたわけた話があるものではないと腹を立てました。
 そこで取っときの鵞ペンを長いことかかって尖らせて、さてひねり出したいとも絢爛たる名文章の要約は(・・・)
―この小説にみられるものは・・・石版画の優雅であり、・・・大根役者のエロ芝居であり、白痴の楽天主義であり、恋慕小唄のセンチメンタリズムであり、(・・・)つまりは凡庸陳腐の最の最たるものである。(・・・)

マルセル・パニョル著・川俣晃自訳 『批評家を批評する』(岩波新書、1954年) より引用
Marcel Pagnol: Critique des critiques


(2) ・・・His romances, since collected under the title 'Batailles de la Vie', appeared first in 'Le Figaro', 'L'Illustration', and 'Revue des Deux Mondes', and have been exceedingly well received by the public. This relates also to his dramas, some of his works meeting with a popular success rarely extended to any author. For some time Georges Ohnet did not find the same favor with the critics, who often attacked him with a passionate violence and unusual severity. ・・・

Victor Cherbuliez
Extrait de la préface de "Serge Panine"; English edition
英訳版「セルジュ・パニーヌ」序文より、ヴィクトル・シェルビュリエ記


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